映画「プーと大人になった僕」(Christopher Robin)

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(By offficial account @DisneyStudios)

コロナウイルスの拡大が続くなか、せっかくなので普段観ないような映画を観ようと思い立ち、今回はこちらを鑑賞。最近、ポケモンをはじめ、ピーターラビットなどアニメや絵本の実写化が多いですよね。ピカチューの声がワイルドなのも驚きでしたが、今回のプーさんも奥深い声でそして主人公クリストファー・ロビンの声が堺雅人さんとなんともタイムリーな映画でした。「ぬいぐるみを実写化なんて…くだらない」と謙遜する人もいるでしょうが、そんな人ほど観るべき映画かなと。なぜならこの映画が1番伝えたいことって、意外にも私達が普段考えちゃいけないと思っている哲学だったから…。クスッと笑えるシーンもありましたし、ディズニーならではのファンタジーでもありメッセージ性の強い映画だったのでレビューします。

クリストファー・ロビンとは?

原題のタイトルであるクリストファー・ロビンとは1920年生の実在の人物で、彼が持っていたテディベアから着想を得て、父親であり児童絵本作家であるA・A・ミルンが息子のために書いた絵本が「くまのプーさん」だった、という話をあなたは知っていましたか。そしておなじみの挿絵は、たまたま近くに住んでいた画家E・H・シェパードが作画。この情報、正直私は全然知りませんでしたし、プーのことを「はちみつ大好きなおとぼけクマさん」としか思っていなかったので、今回この背景も含めて観て良かったと思える映画でした。ちなみに、ディズニー版くまのプーさんの名称である「ウィニー・ザ・プー」の「ウィニー」も第一次世界大戦中にカナダからイギリスへ渡英した実在のクマさんの愛称で、プーのモデルとなったクマだそうです。それらも含めて知っていたほうがより楽しめると思ったので、前書きしました。予備知識も備わったところで、早速進んでいきましょう。

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イギリスの児童絵本作家A・A・ミルン
息子のクリストファー・ロビン・ミルン

物語は、幼い主人公クリストファー・ロビンが私立寄宿学校へ入学するため、100エーカーの森で仲間たち(ぬいぐるみたち)とお別れ会をするシーンから始まります。そこから一気にストーリーは進んでいきます。
第1章 クリストファー、子供時代を終える
第3章 辛く悲しい知らせが届く
第5章 クリストファー、妻イブリンと出会う
第7章 イブリン、自立する …
この映画を見る前は、少年時代の話がメインかと思っていましたが、邦題「プーと大人になった僕」のタイトル通り、メインは大人になってプーと再会した僕(クリストファー)の話なので、驚く程あっという間に大人へと成長していきます。

戦場から戻ったクリストファーは、首都ロンドンで旅行カバン会社ウィンズロウ社の販売部門の責任者となりますが仕事に追われる日々。休日も妻と娘と一緒にコテージへ行く約束でしたが、業績不振の打開策の提案を押し付けられたため、ひとりロンドンに残ることにします。その頃、プーは100エーカーの森で突然仲間たちがいなくなり、助けを求めるため現実世界のクリストファーの元へ。ここで数十年振りの再会を果たす二人ですが、あまりにも長い歳月が経っていたため、プーの姿を見たクリストファーは夢でも見ているかのように驚き頬をつねります。

(プーの姿が見えるなんて僕は)
ストレスなんだ…疲れてる… 壊れた…完全に壊れた…。

その後、渋々とプーをアパートへ連れ帰ったクリストファーですが、はちみつをつけたまま部屋じゅうを歩き回ったり、キッチンの棚を壊してしまったりと手間のかかるプーがいるせいで、全く仕事に集中できません。なので翌朝、列車に乗って100エーカーの森へ連れて帰りますが、霧のなかで迷子に。そこで苛立ちからプーを怒鳴ってしまい、プーは消えていなくなってしまいます…。そしてプーを探しに森をさまよい歩いていくうちに、ホウル(フクロウのぬいぐるみの仲間)の倒壊した家の近くで、木陰に隠れていた仲間たちと再会。はぐれてしまったプーとも再会し、うたた寝しているうちに一晩が経ってしまいます。

慌てて会議に出るためにロンドンへの列車に乗るクリストファー。しかし、鞄の中身にあるはずの大事な書類が森のなかに…「これはクリストファーの大切なもの」と聞いていたプーは、仲間たちと一緒にロンドンへ向かいます。その途中、コテージでひとり遊んでいた娘マデリンプーと仲間たちに遭遇。しゃべるぬいぐるみ達を見て、見てはいけないものを見てしまったかのように「きゃー!」と叫びますが、プーの姿に「パパが少年時代に落書きで書いていたぬいぐるみ」と思い出し、母イブリンに「パパの会社まで書類を届ける旅へ出ます」と置手紙を残し、冒険の旅へ出発します。

無事に会社へ戻って会議に間に合ったクリストファーですが、大事な書類が見当たらず打開策の提案が出来ません。そこに妻イブリンが駆けつけ娘がいなくなったという知らせを受け、会議を抜け出して娘を探しに行きます。一方、娘マデリンはぬいぐるみと共に列車やタクシーに乗りトラブルに遭いながらもやっと会社の近くに到着。書類を片手に急いで会社へ走りますが、目の前の階段でつまづいて転んでしまい、その瞬間に大事な書類が風でほとんど吹き飛ばされてしまいます。落ち込むマデリンに寄り添うプー、そしてクリストファーもなんとか駆けつけ家族と再会できたことに胸を撫でおろします。そこで、書類よりも大切なものを失わなかった安心と残った書類、そして妻マデリンの言葉からふと発想を得たクリストファーは急いで会議に戻り提案をします。

ー 待ってください、答えが出ました。
  皆さんの悩みは全て解決します…何もせず。
ー 何も無いところからは、何も生まれない。
ー それが間違いだった。…
   何もしないことは、最高の何かに繋がる

と、これまでの相手にしてきた富裕層だけではなく庶民にも手の届きやすい旅行カバン作りをしたいと斬新な提案をしたクリストファー。そしてその提案は無事に採用され、家族と「何もしない=休む」ためにみんなで100エーカーの森へ帰ります…というシーンでこの映画は終わります。

ちなみに、この映画のエンドロールはリチャード・M・シャーマンの「Busy Doing Nothing」。まさに「何もしないことって素晴らしい」がこの映画の伝えたかった事なのでした。


映画「プーと大人になった僕」日本版予告

 

プーと大人になった僕 (吹替版)

プーと大人になった僕 (吹替版)

  • 発売日: 2018/12/05
  • メディア: Prime Video